新年は1月1日に始まります。しかし日本では、学校や企業の新年度は4月にスタートします。この時期を「新年度」とか「年度初め」と呼びます。この季節には、通常、入学式や入社式が行われますが、これが4月に行われる理由について、子供から質問されたことがきっかけで詳しく調べることにしました。
また、文書では「年度初め」と表記されることが多いですが、「年度始め」とも言われることがあり、どちらの表現も間違いではなく、使う人の好みによって選べます。
「日本における年度の始まりとその背景
日本では、年度は通常4月に始まり、会計年度と学校年度がこれに含まれます。両年度は4月から翌年の3月末までを1年間と定めています。また、多くの入学式や入社式がこの時期に実施されるのは、いくつかの理由があるからです。
1886年に制定された会計年度は、稲作の秋の収穫後に税金を納めやすくするため、4月から始めることが決定されました。さらに、当時経済的に影響力のあったイギリスが会計年度の開始月として4月を選んでいたことも、日本で同月が選ばれる理由となりました。
学校年度については、明治時代の終わりに、会計年度に合わせて4月スタートが推進されました。また、6月に試験が梅雨時であることから、学生の健康を考慮して4月に新学年が始まることが適切だと判断されました。
これらの理由から、日本では4月が新たなスタートの月として多く選ばれています。
日本における「年度」の意味とその多様性
「年度」とは、ある特定の目的をもって定められた１年間を表す言葉です。この用語は、官公庁が予算を管理する「会計年度」や、学校で学年を区切る「学校年度」などでよく使用されます。これらの年度は、通常、4月から始まり翌年の3月末に終わるとされています。
普通、「年度」と言うと、4月から始まって翌年の3月に終わる期間を指すことが一般的ですが、他にもさまざまな年度があります。
例えば、
「麦年度」は7月から翌年の6月まで
「いも年度」は9月から翌年の8月
「大豆年度」は10月から翌年の9月まで
「米穀年度」は11月から翌年の10月まで
となっています。
日本の会計年度の始まりとその国際的背景
会計年度の設定は明治19年（1886年）に行われました。この時代、日本の経済は主に稲作に頼っており、政府の収入の大部分は農家から得られる稲の税収でした。農家は秋に稲を収穫し、その収入で税金を支払うため、1月の開始ではタイミングが合わなかったため、実際の農作業に合わせて4月に会計年度を開始することが理にかなっていました。
さらに、経済的に強国だったイギリスが会計年度の開始月として4月を採用していたため、日本も国際的な標準に従い、4月に会計年度を設定しました。この判断には、イギリスと経済的に調和を取る意図もあったとされています。
日本の学校年度の変遷とその背景
日本の「学校年度」は、歴史的に変遷を遂げてきました。江戸時代の寺子屋から明治初期にかけて、学生は自由に入学し、学びのペースに合わせて進級していました。しかし、国内の大学が設立された後、外国の教育システムに倣って「同時入学・同時進級」の制度が導入され、学年は当初9月から8月までとされていました。これが、明治19年（1886年）に導入された新しい会計年度に合わせ、4月から3月の学年に変更されました。
この変更は、国や自治体から補助金を受ける学校にとって必要な措置であり、全国的に統一されていきました。9月に入学すると梅雨の時期に試験を行うことが問題となったため、4月入学が推奨されるようになりました。
また、明治時代の徴兵制の影響で、新学期を4月に設定することが一般的になりました。徴兵検査の申し込み日が4月1日に前倒しになったため、教育機関もそれに合わせて新学期を4月に始めるようになり、学生にとってより学びやすい環境が整備されました。
日本の年度開始が4月である理由とその文化的背景
日本では、年度の開始が4月からとされるのは、明治時代に制定された会計年度が始まりです。この会計年度の開始月が4月であったため、学校年度もそれに合わせられ、やがて国内の全ての教育機関で4月から始まるよう統一されました。昭和時代にはこのシステムが確立され、戦後の経済成長に伴い、新卒者の就職活動も4月に集中するようになり、企業もそれに合わせて新年度を4月に設定しました。
他国では新学年が9月に始まるのが普通ですが、日本では時々、学校年度を9月に変更しようという提案も出されます。ただし、春の卒業式や入学式が桜の季節と重なることが日本の独特の文化として受け入れられており、真夏の終わりに新学年を迎えることに対する馴染みは、まだ多くの日本人にとって少ないようです。
まとめ
日本では一般的に、新年度や学校の学年が4月から始まります。この開始時期は明治時代に設定された会計年度に基づいており、この時期に年度を開始するのは多くの学校で採用されています。昭和時代になると、この体制がさらに確立され、戦後の新卒者の一斉就職と同期して、民間企業も4月を年度の開始として採用しました。先進国の多くでは新学年が9月から始まることが多いです。しかし日本では新年度や新学期の始まりが4月であり、入学式や入社式もこの時期に集中しています。この習慣は、春の桜の季節と新たなスタートが重なることから、日本独自の文化的な背景としても定着しています。
